一杯茶的五分鐘:把五種感官找回來

一杯のお茶の5分間:五感をとりもどす

まず、やかんに水を入れて、お湯を沸かしましょう。

これからの5分間は、ゆっくりと時を過ごしましょう。お茶を一杯いれて、五感をつかって、ゆっくり飲みましょう。

聴く|お湯が沸く音

はじめは、何の音もしません。

やがて、やかんの底から、遠くで降る雨のような小さな音が聞こえてきます。それはだんだん低い響きに変わり、最後にはぽこぽこと泡が上がってきます。

最後にお湯が沸く音に耳を傾けたのはいつでしょう。

私たちの耳には毎日いろんな音が入ってきます。電話の通知音、車の音、人の声、イヤホンから流れる音楽。どの音も何かを伝えようとしていて、脳はいつでも反応できるように、ずっと待機しています。

でも、水の音、雨の音、風が木の葉をゆらす音はちがいます。規則的で、やわらかく、何かを伝えようとはしていません。脳は何かを聞き分けたり、反応したりする必要がないので、やっと力を抜いて、少し休むことができます。

だから、お湯が沸くのを待つあいだは、スマートフォンを少し遠くに置いてみてください。ただ、聴くだけ。

見る|一枚の葉が、ゆっくりひらく

お湯が沸きました。急須にお湯を注ぎ、小さく丸まっていた茶葉を見つめてみましょう。お湯の中でくるりと向きを変え、ゆっくり、ゆっくりとひらいて、もとの一枚の葉の姿にもどっていきます。

お茶の色も変わっていきます。ほとんど透明から、うすい金色へ。そして、あたたかな琥珀色へ。

こんな光景を見ていると、目までほっとゆるむようです。

1984年、アメリカの研究者ロジャー・ウルリッチがある研究を発表しました。同じ病院で、窓から木が見える病室の患者は、レンガの壁しか見えない病室の患者より回復が早く、痛み止めの薬も少なくてすんだというものです。その後、心理学者たちも、自然のやわらかくゆっくりした風景が、長く張りつめていた注意力を回復させると考えるようになりました。

私たちの目は、画面の中の速く動く映像に慣れています。ときどきは、ゆっくりしたものを見せてあげましょう。窓の外の木、空の雲、お湯の中でひらいていく一枚の葉。

嗅ぐ|香りが先に届く

急須のふたを開けるか、カップに顔を近づけてみてください。

香りは、お茶よりも先に届きます。花の香りかもしれないし、蜜のような香りかもしれない。焙煎したあとの、あたたかい木の香りかもしれません。深く息を吸って、その香りを少しのあいだ体の中にとどめてみましょう。

ある香りをかいだだけで、ある午後のひとときや、ある人、ある場所を、ふと思い出したことはありませんか。

それは、嗅覚が五感の中でいちばん、感情や記憶をつかさどる脳の部分とまっすぐつながっているからです。ほかの感覚の情報はいくつもの中継を通りますが、香りはほとんど直接届きます。だから、香りひとつで一瞬にして気分が変わるのです。

このしくみを、うまく使ってみましょう。自分が安心できる香りをひとつ見つけてみてください。お茶の香り、木の香り、柑橘の香り、洗いたてのシーツの香り。リラックスしたいときに、そのお気に入りの香りをそばに感じ続けていると、その香りが合図になって優しく体に「もう休んでいいよ」と伝えてくれます。

触れる|手のひらから、ぬくもりが広がる

お茶をカップに注いで、両手で包むように持ってみましょう。

そのぬくもりが、手のひらから指へ、手首へと、ゆっくり伝わっていくのを感じてください。肩の力まで、少し抜けていくようです。

あたたかくやわらかいものに触れると、人は大切にされていると感じます。だから悲しいとき、ハグや毛布、あたたかい飲みものに、特別な安心感をおぼえます。

そばに誰もいなくても、自分で自分をいたわることはできます。足湯をしたり、こった肩にホットパックをのせたり、やわらかい毛布にくるまったり。緊張したときは、片手をそっと胸に当てて、そのぬくもりと重さを感じてみてください。自分に「大丈夫、ここにいるよ」と言ってあげるように。

味わう|最初のひと口は、ゆっくりと

いよいよ、最初のひと口です。

でも、すぐには飲みこまないで。お茶を数秒、口の中にとどめてみましょう。まず舌の先にふれて、それから口いっぱいに広がっていくのを感じてください。すっきりしていますか、まろやかですか。少し甘いですか、少し渋いですか。

飲んだ後も少し余韻を感じてみましょう。お茶によっては、のどにほんのりとした甘さが残ります。これを「回甘(かいかん)」といいます。もう終わったと思ったころに、そっとあらわれる甘さです。

私たちは毎日食べたり飲んだりしているのに、しっかり味わうことはあまりありません。スマートフォンを見ながらごはんを食べ、会議をしながら飲みものを飲む。食べものも飲みものも、ただ「おなかに入れている」だけです。

ゆっくり味わうことは、この味わうという瞬間に集中する練習でもあります。ひと口のお茶を心から感じているとき、明日のことを同時に心配することはできません。

5分間のあとで

お茶を飲みおえました。

お湯が沸く音を聴き、一枚の葉がひらくのを見て、香りをかぎ、ぬくもりを手で包み、回甘を味わいました。

5分間、一杯のお茶で、あなたは自分の五感をしっかりいたわることができました。

家にいないときは:5-4-3-2-1 の練習

いつでもお茶をいれられるわけではありません。オフィスで、電車の中で、緊張する場面で、この練習を試してみてください。不安なときに「今ここ」にもどるための方法として、カウンセラーもよく使っています。

心の中で、または小さな声で、順番に言ってみましょう。

  • 見えているもの 5つ
  • 触れられるもの 4つ
  • 聞こえている音 3つ
  • かいでいる香り 2つ
  • 感じている味 1つ

五感をひとまわりすると、頭の中をぐるぐるしていた心配から少しずつ離れて、まわりの本当の世界に意識がもどってきます。

感覚を「受けとる」から「感じる」へ

私たちの感覚は、一度も休んだことがありません。毎日、情報や騒音や光を受けとりつづけています。

でも、感覚は受けとるためだけのものではありません。感じるためのものでもあります。風を、光を、香りを、ぬくもりを、ひと口の味を。

感覚が「受けとる」から「感じる」にもどるとき、私たちも自分自身にもどってきます。

あなたに寄りそう一杯

葉がひらくのを見たいときに|一葉の禅 ZEN IN A LEAF 丸まった高山烏龍茶が、お湯の中で一枚ずつゆっくりとひらき、上品な花の香りが広がります。はじめての「五感でお茶を飲む」練習にぴったりです。

香りを楽しみたいときに|わがまま美人 REBELLIOUS BEAUTY 熟した果実と蜜の香りをまとった東方美人茶。お茶の色は明るい琥珀色です。香りをかぐだけで、しあわせな気分に。

ゆっくり味わいたいときに|ひと休み貴妃 EASY EMPRESS やさしい蜜のような甘さ。飲んだあとに、ほんのりとした回甘が残ります。ひと口ずつ、ゆっくりと楽しんでください。

参考文献

Ulrich RS. View through a window may influence recovery from surgery. Science, 1984. Kaplan S. The restorative benefits of nature: Toward an integrative framework. Journal of Environmental Psychology, 1995.

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